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マリオネットラプソディー ◆28/Oz5n03M 誰が言った言葉であろうか 『運命』は変えられない 本当に? それとも―――― ◇ ◇ ◇ 「誰もいないよぉ……しかもここはどこなのかな」 研究所のロビーにいたとこまでは覚えてるんだけど……なんか気がついたら森の中だし。 平坂さんとブランドンさんを探そうと思って研究所に戻ろうかなって考えたけど。 「迷っちゃった……」 だって、自分がどこにいるかすらわかんないんだよ? そんなので研究所に戻ろうなんてできるわけないじゃん。 それに、平坂さんやブランドンさんに会うどころか、人とすら会わないし。 (はぁ〜。ハヤテ君、ここにいるのかなぁ) 私の……その……大好きな人。片思いなんだけどね。 (会いたいな、ハヤテ君。一人は……嫌だよ) ハヤテ君がこんなのに巻き込まれて欲しくない私。 ハヤテ君がこの場にいてほしいって願う私。 さっきも思ったけど矛盾している。ほんと、自分勝手だ。普通なら巻き込まれてないのを願うはずなのに。 (それに、もしもハヤテ君が死んだら、私は……) 考えたくも無い未来が頭に浮かぶ。血を流して倒れているハヤテ君。 光を映していない虚ろな目。冷たくなった体。もう、笑ってくれることの無い顔。 いやだ……そんなのいやだ!だめだ、こんなこと頭から無くさなきゃ。 そんな風に考えていた時、 (……何?この音楽?) 突然耳に入ってきた音楽。聞いたことは……うーん。 なんかどっかで聞いたような、聞かなかったような…… (でもなんか……悲しい曲だね……) だからといって明るい音楽がいいってわけじゃないけど。 でもこんな悲しい曲を聞かせられたらただでさえ落ち込んでいる気持ちがさらに落ち込んじゃうじゃん。 そして放送が始まった。 ◇ ◇ ◇ 放送は若い女の人がしてるみたい。 運命がどうとか言ってたけど私には立ち向かうことなんてできない。 普通の高校生にそんなの無理なんだよ。 そういえば、放送で名簿が見れるって言ってたね。 …………いた。 綾崎ハヤテ 三千院ナギ やっぱりいるんだハヤテ君、ナギちゃん。 ハヤテ君はどうしてるんだろう。 ハヤテ君ならきっとこの名簿を読んでナギちゃんを探すんだろうなぁ。 出来れば私のことも探してくれるとうれしいんだけど。 ナギちゃんは怖がってるんだろう。 気が強そうに見えるけど実際怖がりだし。 家族のみんなやヒナさん、ワタル君が巻き込まれてなくてよかったとかじっくり考えたいことはあるけど、そんなことを考えさせないかの如く放送が流れる。 『……そして、そこから更に名前は削れるの。悲しんでも進み続ける覚悟はできている? 今回の死亡者は、……以下の通り。 愛沢咲夜 綾崎ハヤテ―――― その瞬間、私の頭は停止した。 今も続く放送も全く聞こえない。 …………え?………………う…………そ…… 嘘だ……嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ ハヤテ君が……ハヤテ君が死ぬはず無い! いや……! 「嗚呼嗚呼あああああああああああああああああ!」 私は何かを振り切るかの如く走り出した。 頭の中では冷静な自分がいて。 ハヤテ君が死んだことも理解していて。 でも信じたくない自分もいて。 走る。 走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る 走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る 走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る 走る! こんな辛い現実から逃げたくて。 ハヤテ君が死んだこと。 いつ死ぬかわからない恐怖。 一人という孤独。 もう何もかも嫌になって。 生きることすら――― ◇ ◇ ◇ 走って。走って。疲れて走るのをやめて。 歩いて。歩いて。そうして歩いた先には。 「……ロボット?……」 人の形をした壊れたナニカ。 それが私の目の前に転がっていた。 そのすぐそばに 「……外人さんかな……」 人が倒れていた。腰に銃を差している。 そして何でか知らないけど気絶している。 ふと、腰に差している銃を見てみる。 銃――人を×す凶器―――― ああ。私気付いちゃった。 これがあれば―――― そう。私が思ったのは。 「すいません、少しこれ、借ります」 外人さんの腰に差している銃を抜き取って。 私は銃口をお腹に向ける。 自殺。 これでお腹を撃ち抜けば終わる。 いつ死ぬかわからない恐怖が。 一人という孤独が。 そして。 「ハヤテ君に会える……!」 うん、逃げだってことはわかってる。 でもね。もういやなんだ。 痛いのも。怖いのも。 だから。 ごめんなさい。 ヒナさん。おとうさん。おかあさん。一樹。……ハヤテ君。 「もう疲れちゃったんだ、何もかも」 ◇ ◇ ◇ 『運命』は皮肉にも彼女を生かす。 西沢歩は知らない。 この銃は麻酔銃で命を刈り取るものではないことを。 そして翼ある銃はいまだに目覚めない。 この先、どうなるのか。 この哀れな少女の行く末は―― 【H-5/山道入り口/1日目 朝】 【西沢歩@ハヤテのごとく】 [状態]:肉体疲労(大)、肋骨一本骨折、自暴自棄、睡眠中 [服装]:制服 [装備]:五光石@封神演義 [道具]:支給品一式(一食分消費)、大量の森あいの眼鏡@うえきの法則、研究所の研究棟のカードキー [思考] 基本:??? 0:??? [備考]: ※参戦時期は明確には決めていませんがハヤテに告白はしています。 ※理緒手製麻酔銃@スパイラル~推理の絆~が歩の手に握られています。 【カノン・ヒルベルト@スパイラル〜推理の絆〜】 [状態]:気絶、潜在的混乱(大)、疲労(中)、全身にかすり傷 [装備]:麻酔弾×16、パールの盾@ワンピース [道具]:支給品一式 [思考] 基本:ブレード・チルドレンは殺すが、それ以外の人は決して殺さない? 0:――? 1:マシン番長の残骸から使えそうなパーツと、デイパックを回収したい。 2:歩を捜す為に、神社に向かう。(山道は使わない) 3:ブレード・チルドレンが参加しているなら殺す? 4:本当に死んだ人間が生き返るなんてあるのか―――? [備考] ※剛力番長から死者蘇生の話を聞きました。内容自体には半信半疑です。 ※思考の切り替えで戦闘に関係ない情報を意識外に置いている為混乱は収まっていますが、きっかけがあれば膨れ上がります。 ※みねねのトラップフィールドの存在を把握しました。(竹内理緒によるものと推測、根拠はなし) 戦術を考慮する際に利用する可能性があります。 時系列順で読む Back 反撃の狼煙 Next 盤上の駒 投下順で読む Back TOUGH BOY Next 盤上の駒 052 電気羊の夢 カノン・ヒルベルト 102 Should Deny The Divine Destiny of The Destinies 056 奮戦せよ12thブラック 正義崩壊の序曲!? 西沢歩 102 Should Deny The Divine Destiny of The Destinies
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草原。 ゆらゆら揺れる草。そよそよと吹く風。黒の空に浮かぶ金色の月。微かに灯る月明かり。 一面に広がる鮮やかな緑も夜の闇にかかれば黒に染まり、草の原もたちまち黒の原となる。 その黒の原に一人の異質の黒。否、正確に言えば一人の少年が立っていた。 華奢な体を黒の執事服で身を包み胸には黒のタイ、 少し跳ねたややブルーがかった髪が全身の黒と対比して目立っている。 そして目を惹くのが少年の顔。 女顔かつ童顔で幸薄い容姿が一部の人の保護欲を引き立てるであろう。 綾崎ハヤテ。 両親が残した1億5680万4000円の借金返済のため三千院家の執事を努める少年である。 「……殺し合いですか。見たところドッキリではなさそうですね」 ハヤテは深妙に手を顎に当てながらなぜ自分がこの殺し合いに巻き込まれたかを考える。 (思い当たる理由なんていくらでもある。僕を倒せば三千院の遺産は全て手に入る。 そのためにこんな殺し合いに僕を参加させたのかもしれない。 そんなことを考えるよりも今は、現状の確認が優先ですけどね) 次々と思い浮かぶ理由に頭を抱えながらも、今はそんなことを考えるときではないとハヤテは思考を切り替える。 今の最優先事項は自分が今の状態で何を目標としてどう行動すべきか。 とりあえず、ハヤテはデイバッグを開け、まずは名簿の確認を行う。 あのホールでは人が多すぎて知り合いがいるかどうかわからなかったためだ。 できれば僕の知り合いが誰もいませんように、そう願いながら名簿をパラパラとめくり確かめる。 だが、その願いは粉々に打ち砕かれる。 「お嬢様!?それにマリアさんまで、ということはやはり遺産狙い……! ここで現時点での相続者であるお嬢様もろとも亡き者にするつもりなのか! 汚い手を使ってくれますね」 自分の大切な人達がこの殺し合いに参加していることに憤りを表情に表し、 ハヤテは両手を強く握りしめる。 その怒りに呼応したのか吹く風も強くなり、草が大きく揺れる。 (でも、遺産にはマリアさんは関係ないはず。どうして呼ばれた? ついでに?わからない。あの女――郷田真弓が何を考えているか。 それに遺産だけなら僕らだけを狙えばいいはず。 他の人達が参加している理由は? だめですね、ごっちゃになってまとまらない) ハヤテはうんうんと唸りながらこの殺し合いの開催の理由を考えてみるが一向に思い浮かばない。 それもそのはず。初めて会った人の考えなどいきなりわかるはずもない。 心を読む超能力でも持っていなければ到底無理な話だ。 (僕を覗いてこの島には77人の参加者がいる。 そんな人数を警察にバレずに誘拐することなんて可能なんでしょうか? それに三千院家のセキュリティをどうやってかいくぐり僕達をここに? だめだ、今はそんなことを考えるよりもお嬢様とマリアさんだ。 こんな危険な島に一人で……早く見つけないと!) 焦りが何も生まないことぐらいハヤテにもわかっている。 だが、自分の大切な人達が今こうしている間にも危険にさらされていると考えたらじっとしていることなんて到底できない。 ハヤテは他の支給品を確かめた後、ナギ達を探すために歩き始めた。 だがその歩みはすぐに止まる。 「……はぁ」 ハヤテは支給品として入っていたナイフを手に持ち、突然何を思ったのか後ろに振り向き茂みに投げつける。 「いいかげん出てきたらどうです?」 「バレていましたか。これでも気配の隠し方には自信があったのですけど」 暗闇から現れたのは紫のロングヘアの少女。 ハヤテが見た感じではとてもじゃないが殺し合いに乗れるような悪人面ではなく、 秩序を重んじる昔ながらの大和撫子。 そう感じたハヤテであったがどうやら違うと思考に区切りをつける。 「それにナイフの投擲の腕もなかなかのようで。尊敬しますわ」 「それは光栄ですね。で、どのようなご用件でしょうか?」 少女は笑顔で言葉を放ち、ハヤテもその言葉を受け取って喜びの表情を作る。 だが二人ともそれは表面だけのように見える。 少なくともハヤテの内心は喜びとは程遠い。 ハヤテの内心としてはこの人が黒か白かはまだ測りかねず、 表面上がどうであれ信用するには材料が足りなさすぎると判斷。 ひとまずは話を聞こうと問いかけるが。 「いえ、悪いのですけれど死んでいただけたらなと思いまして」 その間は一瞬にして終わる。 その言葉が言い終わるのと同時に少女は地を駆け一息でハヤテの懐まで跳ぶ。 「惨たらしく死んでくれませんか」 少女はデイバッグから取り出した槍で突きを放つがハヤテはしゃがんで躱す。 「お断りです、ってそのデイバッグから出したんですか!?明らかに物理法則おかしいですよ!」 「そんなことを気にしてる余裕あるんですか?」 「……っ!申し訳ありませんが、少しは痛いのを覚悟して下さいよ」 ハヤテは地をはうように回し蹴りを少女の脇腹に叩き込もうとするがそれは直接通らない。 少女は素早く槍の先端部分で受け、さらに出来る限り衝撃を受けないように横に跳び、蹴りの衝撃を殺す。 そこに間髪入れずにハヤテはナイフをくるぶし辺りの高さに投げつける。 「ははっ、なかなかですね。ですが、狙うなら頭を狙った方がいいと思いますよ」 少女は槍を横薙ぎに振るうことで飛んできたナイフを弾き飛ばす。 「ご教授感謝します、よ!」 ハヤテは再びナイフを放つ。そして少女が槍で弾き迫る。 少女の槍による斬撃をハヤテがナイフで受け流し後退。 そこから三度目の正直と言わんばかりに投擲。 その繰り返しが何回か続く。 しかし、その繰り返しも終わる。ハヤテのナイフの投擲がなくなることによって。 「っ!もうない!」 「あらあら、それは残念ですね。隙ありです」 ナイフが飛んでこないのに気づいたのか少女はハヤテに迫り槍で刺し殺そうとするが。 「くそっ…………なんてね」 「!?」 それよりも早くハヤテは袖からナイフを出し顔面目がけて投擲する。 少女はその場で足を止め、落ち着いて槍で飛んでくるナイフをなぎ払う。 「そこだ!」 その一瞬の間にハヤテは迫り少女の持っている槍の柄を思い切り上に蹴り上げる。 少女は耐えきれず槍を手放してしまう。 槍はくるくると上に高く舞い上がり少女の後ろの地面に突き刺さる。 「嘘も方便ですよ。これでチェックメイトです」 少女は槍を取ろうと後退しようとするがハヤテがそれをさせない。 ハヤテは即座に少女の懐に迫り拳を放つ。 「チェックメイトにはまだお早いと思いますけど!」 少女はハヤテの拳を叩き落とし貫手を放つ。 それをハヤテは腕を掴むことで貫手を止め、そのまま均衡状態が続く。 それからどのくらいたったのだろうか、均衡が破れる。 第三者の乱入によって。 「おいおい、俺も混ぜてくれよぉ」 その声が聞こえたのと同時に二人は逆の方向に大きく跳躍する。 二人は何か嫌な予感を察知したのだ。 「ひゃっはー!」 次の瞬間、二人の立っていた場所を銃弾が蹂躙した。 暗闇の中から現れたのは一人の少年。まだ中学生くらいだろうか。 半袖のパーカーに半ズボン、それに加えて背丈と顔から判斷するとまだ幼い印象が見受けられる。 しかしそんな少年の手には普通ではありえない、無骨なアサルトライフルが握られていた。 先程の銃撃はこれでやったのだと二人は判斷した。 少年は嫌な笑みを浮かべながらアサルトライフルを二人に向ける。 そこからの二人の行動は迅速だった。 「くそ!おい、逃げるなぁ!」 これを見た二人は脇見もせずにそれぞれ全速力で別の方向へ逃亡を開始した。 重火器相手に手ぶらでかなうはずがなく、それに武器も心許ない上にまだ序盤だから。 無理をする必要はない。 ハヤテも少女も状況を理解して、戦略的撤退を選んだのだ。 「どこだどこだどこだ!」 少年はアサルトライフルを乱射するが二人はもうすでにいない。 行動の迅速さが銃撃から逃れることを可能にしたのだ。 「畜生!逃がしたか。ああ、もう!もっと使い易い銃を寄越せよ!重くて撃ちにくいんだよ」 少年は悪態をつきここに居もしない主催者に対して憤りを表す。 この少年の名は長沢勇治。ひきこもりであり、日頃から人を殺してみたいなど危険な思考を持つ少年である。 そのような思考を持つ勇治がこの殺し合いに乗るのはもはや必然だった。 両親も知り合いもいないので気兼ねなくこのゲームに参加出来る。 勇治の気分はウキウキだった。 それにこの島で人を殺しても罪には問われない、むしろ推奨されているということが拍車をかけている。 勇治にとってこのバトル・ロワイアルはゲームなのだ。クリアは全員殺しての優勝。 ゲームはクリアしなくちゃいけないだろう?と考えながら勇治は嘲う。 「まぁいいさ。次会ったら殺せばいいんだし。僕、いや俺にはこのアサルトライフルがある。 それにあの女達が落としていった武器もここにある」 勇治は少女の落とした槍とハヤテの投げたナイフを丁寧に拾う。 ランタンをつけて明かりを灯せばナイフがどこに落ちているかなどもすぐに分かる。 このような地道なこともゲームのクリアに繋がる。むしろこれは王道だ。 武器集めは他人に対して有利になることだ、と勇治はそう考えていた。 「っし。たぶんこれで全部だな。辺りは大体は見て回ったし。 見てろよ、全員俺が血祭りに上げてやるんだ。ははははは!」 どこまでも自分勝手な少年は高笑いをしながら草原を去っていった。 【A-2/一日目・深夜】 【長沢勇治@キラークイーン】 【状態】健康 【装備】コルト M4 カービン(10/30) 【持ち物】支給品一式、予備マガジン×2、献身@永遠のアセリア、スティンガー×12@魔法少女リリカルなのは 不明支給品0~2 【思考】 0.人を殺したい 1.優勝を目指す。 【コルト M4 カービン】 米国の特殊部隊統合軍SOCOMが、コルト社に開発依頼したM16A2のカービンモデル。 汎用性は極めて高く、ダットサイトやスコープ、レーザーサイトなどといった照準用光学機器だけでなく、 フラッシュライトやスリング用スイベル、バイポッド、バーチカルグリップ等の補助器具が状況に応じて自在に交換可能。 【献身@永遠のアセリア】 槍型の永遠神剣。位は第七位。 【スティンガー@魔法少女リリカルなのは】 チンクの固有武装であるナイフ。何の変哲もないただの金属のナイフである。12本セット。 ◆ ◆ ◆ 「どうやら……逃げ切れたようですね」 B-2の北部にハヤテはいた。あの逃亡で少女とは別の方向へ逃げたため一人である。 「アサルトライフル、あんな物まで支給されているとは。 この殺し合いどうやら一筋縄ではいかないようですね」 いくらハヤテが常人より鍛えているとはいえ、銃で撃たれたら死んでしまう。 アサルトライフルならばなおさらだ。 それ故の逃走。だが仕方が無い、ハヤテはまだ死ねない。そう思ってしまったのだから。 「僕はまだ死ねない……お嬢様とマリアさんを無事に、平穏な生活に返すまでは」 大切な人達の笑顔を守るためにハヤテは再び自分に言い聞かせるように決意する。 その決意は何よりも固く、自分を犠牲にしてもいいと言えるぐらいだ。 (早く、銃火器に値する武器を見つけないと。あれに対抗するには必要だ。 さっき、ナイフは全部使っちゃったし武器はもうない。 残るのはこれだけだ) ハヤテがデイバッグから取り出したのはパイプ椅子と女の子の人形。 どちらも殺し合いに向く物ではない。 改めて見ても使えそうにないとハヤテは判斷しデイバッグの中に二つを戻す。 「無事でいて下さい、お嬢様、マリアさん。僕が行くその時まで」 ハヤテは再び走る。かけがえのないものを護るために。だがハヤテは知らない。 護るべき者の片方が既に死に至っていることに。 哀れな執事はこのまま知らずに踊り続ける。 殺し合いの島で道化のように。 【B-2北部/一日目・深夜】 【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】 【状態】疲労(中) 【装備】なし 【持ち物】支給品一式、上海人形@東方Project、パイプ椅子@SHUFFLE! 【思考】 0.お嬢様とマリアさんを探す 1.殺し合いには乗らない。 2.銃火器に値する物が欲しい。 【上海人形@東方Project】 アリス・マーガトロイドが持つ人形。上海かわいいよ、上海。 【パイプ椅子@SHUFFLE!】 リシアンサスが父親である神王を自重させる時に武器に使う椅子。 正直、これで叩かれるとそれなりに痛そうである。 ◆ ◆ ◆ 「疲れた……」 ハヤテと反対の方向、B-1の北東部に少女はいた。 少女の名は真田設子。アイギスの敵対組織に属し、セント・テレジア学園に潜入している暗殺者である。 「しかしなぜ、このような所に私はいるんだ。私は確か、学園の寮の自室にいたはず。 おかしいな……私がなすがままに攫われたということか」 設子はお嬢様口調を止め、普段の口調に戻す。どうせここでは誰も聞いていないので演技の必要もないということもある。 「それに、ここには私の他に山田妙子、いや本当の名は如月修史か。あいつもここにいる」 なぜか自分と同じようにここにいるアイギスのエージェントのことを設子は思い出す。 最も設子には彼がどう動こうと関係なく、興味もないのだが。 「どっちにしろ私のやることは変わらない。この島で優勝してさっさと戻ることだ。 幸いのことにここには私を楽しませてくれる奴がたくさんいることだしな」 設子はそう言ってついさっき戦った執事服の少年のことを思い出す。 (あの執事服の奴は槍による鋭い一撃を躱し、それだけではなく一撃を加えようとした。 ナイフの投擲の腕も申し分ない) 設子は心が踊っていた。自分と互角に渡り合える強者に。 バトルジャンキーと言われるほど戦いに渇望しているわけではないが、 それでも強者と戦えるのは嬉しいと設子は思う。 「奴とはもう一度戦いたいものだな。今度はお互い万全な状態で。 次は邪魔を入れさせんぞ」 あの邪魔さえ入らなければもっと戦えたのに、と設子は愚痴を漏らす。 (然るべき武器があればあの邪魔をした少年を殺していたのだがな。 生憎、銃はなく槍もどこかへ飛んでしまった。逃げて正解だったんだ、あれは) 今の手持ちの武器は槍がなくなった今、他に入っていた鉄パイプぐらいしかない。 仕方なく鉄パイプを現在の主戦武器にして設子は進む。 「ここはB-1の北東部。この先は劇場があるはず。地図に乗るほどなんだ、大きな施設だろう。 人がいるに違いない……楽しみだな。私を満足させてくれる奴がいればいいが」 設子はニヤリと嗤う。 これから進む先に自分を満足させてくれる好敵手がいてくれるといいと願いながら。 (如月修史、お前もだ。そう簡単に死んでくれるなよ。 ここでは殺さず生け捕りは難しいしな。殺す気でかかって来ることを願うよ) 最後に自分と同じ場所に潜入しているエージェントを思い浮かべて。 設子は夜の帳に消えた。 【B-1北東部/一日目・深夜】 【真田設子@恋する乙女と守護の楯】 【状態】疲労(中) 【装備】鉄パイプ 【持ち物】支給品一式、不明支給品0~1(武器はなし) 【思考】 0.優勝狙い。戦いを楽しむ 。 1.街に向かう。 2.銃が欲しい。 【鉄パイプ】 何の変哲もないただの鉄パイプです。特殊能力もついてません。 BACK スカーレット・オラトリオ 時系列順 NEXT たまたま~出会った彼女は華人小娘。たまたま近くにいた見知らぬ少女は…… BACK スカーレット・オラトリオ 投下順 NEXT たまたま~出会った彼女は華人小娘。たまたま近くにいた見知らぬ少女は…… GAME START 長沢勇治 NEXT 約束のはじまり GAME START 綾崎ハヤテ NEXT Memories Off-黄金の約束- GAME START 真田設子 NEXT 約束のはじまり
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#blognavi ハヤテ主演。 曲はThis Business Killing Me。 まずは、目覚ましがなる。 ベッドから跳ね起きるハヤテ。(頭はぼさぼさで具合が悪そう) いそいで会社へ! そして朝、デスクワークに向かうハヤテ。 昼、営業にいくハヤテ。 夜、残業をするハヤテ。 そしてへとへとになって家に帰ってくるハヤテ。 そして栄養ドリンコをぐいっといっき。 そして家でも仕事をするが、疲れて寝てしまうという。 そしてまた朝へ。 カテゴリ [日常] - trackback- 2005年12月18日 21 32 56 #blognavi
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「お嬢様……マリアさん……どこにいるんですか」 深い森の中をハヤテは高速で駆けていた。ゆったりしている暇はない、早く二人を見つけなければ。 決意を胸に強く地面を踏みしめて疾走する。木の枝を飛び越え、時には避けながら。 まるでターザンにでもなったかのようだ、と思わず苦笑する。 (今のところ僕が会ったのは二人……制服の女学生さんとパーカーの子供か) この島に降り立ってから最初に出会った参加者達。 一人目は制服の少女。ハヤテは自分と互角に渡り合った手練として厳重に注意すべきとメモをしていた。 あの場では引き分けのようなもので終わったが状況が変わればどうなるかわからなかった。 無論、それだけではハヤテの頭にここまで刻みつかない。 (もし相手が拳銃をそれに類する武器を持っていたら……僕はやられていたのかもしれない) 少女を過剰なまでに危険視するのにはきちんとした理由もある。 ハヤテは彼女から濃い血の匂いを感じ取ったのだ。 これまでの短い人生の中でも複数ものヤクザやロボット、虎と戦ったりなどそれなりに修羅場をくぐり抜けてきた勘が読み取ったのだ。 (出来れば、もう戦いたくはない。お嬢様やマリアさんを護りながらでは絶対に勝てない) ハヤテが互角に戦うことができたのは自由に動き回れてかつ護る人がいなかったためだ。 三世院家の執事として負けるということは考えてはいないがそれでも念には念を入れておきたい。 (戦うとしても十分な戦略、装備、仲間が欲しい。身体的にも余裕があるなら尚いい。 慎重なくらいがちょうどいいんだ、あの手の人と戦うのは) 最終的に会ったとしても装備や体調が心持たない時はやり過ごすということにハヤテは決めた。 傍から見るとハヤテは臆病者と罵られるかもしれないがこの島では何が起こるかわからない。 慎重すぎるくらいがちょうどいい、とハヤテは改めて自分を戒めた。 (あのパーカーの子供は、突撃銃の持ち方も素人だったし、女学生さんよりはまだましだ。 でも油断していたら殺られる。突撃銃なんてものに素手で挑みたくはないですよ) 突撃銃相手に素手で挑む蛮勇なんてやりたくない。 ハヤテだってナギやマリアよりは優先順位が下がるが生命が惜しいのだ。 誰だって死にたくはないし、出来れば生き残りたい。 「はぁ、今の手元にあるのはパイプ椅子と人形……こんなんじゃ戦う以前の問題だ」 ハヤテは手元にある二つの道具の心もとなさに溜息をつく。 これでどう戦えというのか。突撃銃、拳銃、刃物相手にパイプ椅子と人形。 ギャグとしか言いようがない。 (誰か他の参加者と合流して装備を分けてもらうしかありませんね……) 今の方針は他者との交流、そう結論づけてハヤテは森を高速で駆け抜けていく。 そして、目の前が開かれ視界には橋が映る。いかにも山奥にかかっていそうな木の橋だ。 その橋の中央を一人の少女がてくてくと歩いていた。 (見つけた。だけど、不用意に近づいて大丈夫なんだろうか? 出会い頭に襲われたらたまったものじゃない) ハヤテと少女の距離はそれなりに離れている故に遠目からでは何を装備しているか見えない。 もし少女がゲームに乗り気だとしたらハヤテは素手で挑む他ない。 (あの最初の女学生さんの件もありますし……ここは) 「シャンハーイ!」 「そうそう、シャンハーイって陽気に声をかけ……ってえええ!! 人形が喋った!?」 デイバッグから飛び出してきたのは女の子の人形。細部を見ても丁寧な作りで思わずハヤテは感心したがそれも一瞬。 人形が喋った。その事実が他のどんなことよりも優先されて頭に入ってくる。 (え、喋る人形ってことはこれはローゼンメイデン? こんな子いたっけ? じゃあなんだろう? というか……) 「あの、誰かそこに隠れていますよね?」 (やっぱりバレてるーーーー!!!? 隠れている意味がなくなった……) ハヤテはここから出るか出ないか。それとも全速力で踵を返して逃げるか。何秒か考えた結果出した結論は。 「僕は無害ですよー。どこにでもいる執事ですよー」 大人しく出ていくことに決めた。もし襲われたとしたら即座にダッシュして森の中に隠れて撒けばいい。 「執事はどこにでもいませんよ……まあいいです。とりあえず、情報交換しませんか?」 ◆ ◆ ◆ 「それでパーカーの男の子と一見大人しそうなお嬢様風な女学生が危険ってことなの?」 「はい、実際に戦闘を行いましたから」 「……信じるよ、その言葉を」 こうも速く信用されるとは思っていなかったのかハヤテは口をあんぐりと開けて少女――藤堂晴香を見つめる。 ちなみにハヤテは晴香に年下に敬語でなくていいと言ったので彼女は幾分か砕けた口調なのである。 「え……どうしてそこまで簡単に信用するんですか?」 「どうしても何も綾崎君が嘘を付いているようには思えないしね」 晴香は軽く微笑んで互いの情報について書いたメモをポケットに入れた。ハヤテもそれに習って燕尾服のポケットにメモを突っ込んだ。 情報交換も終わり、次に二人が挑む問題――むしろこれこそが本題とも言える。 「それで、」 「ああ、これですか」 「シャンハーイ!」 喋る人形――上海人形がふわふわと宙を浮いているのを二人は唖然とした状態で見つめる。 ファンタジーなこの事態に二人は驚きを通り越して笑ってしまう。 「人形がしゃべってますね」 「人形が飛んでるよね」 「でも、よく考えると普通ですよね」 「……」 「…………」 「………………」 「すいませんすいません、普通じゃありませんよね」 家で喋るトラを飼っているハヤテとしては最初こそ驚きはしたものの現在は平然と受け入れていた。 なんだかんだでハヤテは非常識な日常を送っている身だ。大抵のことは経験済みである。 「この人形……上海だっけ?」 「はい、説明書にはそう書いてありました」 「シャンハイ!」 「そうだよ、私は上海だよって言ってます」 「この上海ちゃんの言うことがわかるの?」 「いや、わかりませんよ。なんとなくです」 「綾崎君」 「すいませんすいません、この島で初めて話がわかる人と出会えてちょっと舞い上がっていたみたいです」 ハヤテの綺麗な平謝りに晴香は苦笑する他ない。思っていたより愉快な子だな、と晴香は認識を改めた。 「ともかく上海さんに害はないと思います。現に所持者である僕もまだ不幸らしい不幸もありませんし」 「最初から危険人物と立て続けで遭遇してた綾崎君が言えることかな」 「いやいや、あれくらいの不幸は日常茶飯事ですんで大丈夫です……ただ身を守る武器が無くなってしまったのはちょっと厳しいですが」 人形にまで丁寧語を使うのか、というかあれぐらいの不幸は慣れっこっておかしくないか、などと晴香は心中でハヤテの変人ぶりに苦笑する。 だが別段気になっていることではないので放置。本人がいいのならそのままでいいだろうと判断した。 自分としてもそこまで抵抗感もあるわけではない。 「私も分けてあげられるなら分けたいんだけど自分の分だけしかないから御免」 「いえ……藤堂さんのせいではありませんよ、気にしないで下さい」 晴香の腰に下げられているのは鞘に入った大きな刀剣だ。 全長は一メートルはあるだろうその刃は今は鞘の中で鳴りを潜めている。 「その代わりと言ってはなんだけど……一緒に行動しない?」 「へ?」 間の抜けた声がハヤテの口から飛び出した。 「いいんですか? 見ての通り僕は武器なんてなくて一文無しですよ?」 「いいよ、別に。それに、一人で行動するのも嫌だっていうのもあるし。目的地がこの先の廃村なのも同じ。 私にはデメリットはないよ」 晴香としても単独行動はフットワークが軽く、自分の好きなように行動できるという利点があることは分かっている。 だがそれと同時に他者から襲われやすいという欠点もある。その分、複数人数での行動はその欠点を補わせる。 単独行動の利点が薄くなるが身体能力が高いハヤテならば特段にマイナスとならないと晴香は考えたのだ。 「それならば喜んでお受けいたします! 大丈夫です、いざという時は素手でも戦ってやりますよ」 「あはは、頼りにしてるよ。それじゃあ行こうか」 改めて二人は親交の証として握手をし、止まっていた歩みを再開させる。 そして、ただ黙っているのも寂しいからと二人は軽い雑談を繰り広げていた。 「そういえばその指環きれいだね、誰かからもらったの?」 「そんなのつけてました? 僕はつけていた覚えなんてありませんよ」 「綾崎君何言ってるの? ほら」 そう言った晴香の視線の先にあるのはハヤテの薬指にはめられている指環。 指環には鮮やかに輝く宝石がはめ込まれており、見る者を魅了させる。 「この指環は……!」 だがそんなことはハヤテにはどうでも良かった。それよりも何故という疑問の感情が際限なく沸き上がってくる。 (どうしてこれが、僕がアーたんからもらった指環が僕の指に? いや、そもそもこんなモノをつけていた覚えはない。 だってこの指環は両親に売られてしまったはずだ!!! おかしい、おかしい!) いつのまにか現れた約束の指環。それはもう二度と見ることもないだろうと思っていた証。 何故こんな殺し合いが行われている時に。その疑問に対する自分なりの答えは直ぐに出た。 (まさか……アーたんがここに、いる? それも、この島にいるってこと?) ハヤテの疑問に真実をもって答えてくれる者など当然おらず。 真実には、まだ近づけない。 【C-4橋付近/一日目・早朝】 【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】 【状態】疲労(小) 【装備】約束の指環@ハヤテのごとく! 【持ち物】支給品一式、上海人形@東方Project、パイプ椅子@SHUFFLE! 【思考】 0.アーたんがいる? 1.殺し合いには乗らない。お嬢様とマリアさんを探す 2.銃火器に値する物が欲しい。 【藤堂晴香@寄生ジョーカー】 【状態】健康 【装備】ファルクス 【持ち物】支給品一式、不明支給品0~2 【思考】 1.ゲームには乗らない。脱出狙い 【約束の指環@ハヤテのごとく!】 幼少期にハヤテがアテネから受け取った指環。 【ファルクス】 刃先が内側にあり、刀身が大きく鎌のように反り返った刀剣である。 とても切れ味が鋭い。 Back 終ノ少女 時系列順で読む Next First Fragment Back 終ノ少女 投下順で読む Next First Fragment Back dorchadas 綾崎ハヤテ Next [[]] Back バベルの階段をあがれ 藤堂晴香 Next [[]]
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前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ ……マメイヌ隊は、レスキュー隊なんだと、お父さんにそう聞いたとき、まだ小さくてレスキューの意味も分からなかったけど、私もお父さんみたくなりたいって思った。 私はたまたま走るのが速かったけど、それだけでマメイヌ隊に選ばれるわけじゃない。 求められる役目は重大で、だからこそなりたいって思う人も私の周りにも沢山いた。 何よりも走りながら考えられる人が必要なんだと、ガッコウに来たマメイヌ隊の当時の隊長が教えてくれた。 あれから7年、私の腰には、マメイヌ隊の剣がある。 たった一人のマメイヌ隊。だから、沢山考えないといけない。 草や木に、私の知っているものはなかった。似てるものはあったけど。 ここを知るほどに、少しずつ、矢印の先っぽの国が遠くなっていく。 木の実の殻に注いでもらったワインに舌をつけた。 不思議だけど、ルイズは信じられるような気がする。心細いからだけじゃないと思いたい。だからつい色々話してしまうのだ。 びっくりして目を大きくしてくれるのが嬉しくて。 チーズを齧るルイズを見上げた。桃色の髪の、魔法がうまく使えない魔法使い。 ……ルイズは、私のトモダチになってくれる? * * 一時間くらい、ハヤテとおしゃべりした。 その中で、自分がまともに魔法を使えないことも、不思議と落ち着いて話せた。 ハヤテの、速く走れるだけじゃマメイヌ隊にはなれないんだっていう一言がすごくショックだったから。 何のために、誰のために走るのか。 私は、何のために魔法を使いたかったんだろう。馬鹿にされてるのを見返したい。お母さまから溜め息をつかれるのはもう嫌だから。それも、嘘じゃない。 だけどそれだけじゃいやだ。 「……私、もう一度、一から魔法を勉強してみようと思うの」 チーズを齧る。むきになり過ぎてた。他人の挑発に踊らされて、かなりみっともない姿を晒してた。 私は、失敗ばかりしてる。そこから目を背けたら、速く走れるようにはなれない、でしょ? ハヤテは、小さくて可愛くて、話すのもたどたどしいから小さな子供に見えてしまうけど、少なくともマメイヌ隊として働いている先輩なんだ。 頭もかなりいいと思う。 そう言えば、 「ハヤテって、年は幾つなの?」 「ジュウナナ、半年前ニまめいぬ隊員ニナッタ」 17才。1年お姉さんなんだ。これが本当のちい姉様だと、変なこと考えちゃった。 お父さんが元マメイヌ隊員で、ずうっと憧れてたって。 「じゃあ、ハヤテは相当強いんでしょ?」 選ばれたんだから。そう聞いたら、今度は困ったみたいに眉を顰めた。 「強イ……難シイ」 言葉に迷いながら、ハヤテは一生懸命話してくれた。お年寄りよりも速く走れるし、剣も使えるけど、自分が世話役たちより強いとは全然思えないって。世話役って、オールド・オスマンみたいな人たちかな。 マメイヌ隊にも、それこそハヤテが三人掛りでも勝てない人もいるけど、その人だって自分が強いなんて一回も言ったことはないって。 「ウウン……何ガ強イカハ、ミンナガ違ウ、カラ……エエト……」 ああ、お姉さんだけど、ハヤテだってまだ見つけてないことがあるんだ。 「強いって、難しいのね」 エアハンマーの強さは比べられる。だけど、強いっていうのは、そういうことじゃないのね。 そう呟いたら、ルイズはすごい、と言われて恥ずかしかった。ハヤテが考えながら話してくれたことを、言い方を変えただけなんだもの。 そろそろ、学園に帰らなきゃ。コルベール先生と話もしないといけないし。 立ち上がって、草を払う。 でも、帰ったら、皆に会ったらまたゼロって言われるし、すぐに平気にはなれない。きっと嫌な気持ちになって、むきになっちゃうだろうな。 「ねえハヤテ、時々こうやって遠乗りに来るのって、どうかしら」 「気持チイイ。ソレニ、落チ着ク。ゴ飯モオイシイ」 コロボックルも、ハイキングとかするのかな。 「じゃあ、次はお弁当作って貰うわ。サンドイッチとか」 馬を進ませる私の肩で、ハヤテがぽんぽんと跳ねる。こういうところは、子供みたい。ハヤテはお姉さんみたいだけど、妹みたいだ。 ハヤテはコルベール先生相手には、あまり自分から話そうとしない。 聞かれたことには何とか答えるんだけど、つっかえたり、言い直したり大変そうだ。 今の質問なんて、さっき身振り手振り入れて沢山話してくれたことのに。 どうして? 今朝までの私なら、自分からそう言ってたと思う。ハヤテがなんで言葉を濁してるのか深く考えもせずに。 先生の質問に答えるのは、私にとって『正しいこと』だったから。 考えないと、いけないんだ。私には話せて、コルベール先生に話せないそのわけを。 使い魔だから。 そんな簡単な話じゃない。第一それだと、私はハヤテが使い魔なだけで自分の恥を曝け出したことになる。 違う。ハヤテだから話したんだ。 「ふぅ……まだここの風習も分かっていないのでは、説明のしようがない、か」 「ゴメン、ナサイ」 「いや、つい好奇心から踏み込みすぎてしまったようだね。すまなかった。ミス・ヴァリエールもご苦労だったね」 「いえ」 踏み込める距離。 頭の、今まで使わなかった部分を働かせてるみたい。面白いかも。 先生は、ハヤテの使い魔のルーンを虫眼鏡で確かめようとしたけど、細かすぎてよく分からなかったらしい。ちょっと見ない複雑な形だとか。 ハヤテと目が合った。ハヤテ本人に頼んで大きく書き写してもらえばいいんだ。 でも先生はハヤテの距離がそこまで近くないから言い出せない。少しもどかしそう。 私も気がつかない振りをした。 「それでは失礼しますミスタ・コルベール」 「ああ、それと明日からちゃんと授業に出るようにね」 ううん、でもやっぱり分からない。 「ねぇハヤテ、コルベール先生が嫌いだから、じゃないのよね」 そんなつまらない理由で距離を置くなんて思えないもの。 「ルル……マダ、ヨク分カラナイケド、アノ人ハ、チョット怖イ人ダト思ッタカラ」 あのいつも授業を脱線させて変な発明ばかりしてる先生が? 「質問ノ、シカタ、無駄ガナサスギタ……副隊長ニチョット似テル」 流石に驚いた。マメイヌ隊って騎士団みたいなものだと聞いてたから。じゃあコルベール先生って、元は軍人だったんだろうか。 「勘違いっていうこともあるのよね」 「ウン、マダチョットシカ会ッテナイ、シ」 「そう、よね、これからも授業とか、よく知っていけばいいんだわ」 これはハヤテにというよりも、自分に言い聞かせてた。私はコルベール先生のこと『先生』としか見てなかった気がする。 夕食までまだ少し時間がある。机に頬杖をついて、先生たちのことを一人ずつ頭に思い浮かべる。 クラスメートたちは……まだ、冷静になれないから保留。 ハヤテは、インク瓶の上に腰をおろして、嬉しそうに足を揺らしてる。あ、そうだった、 「ハヤテのベッド、どうしようか」 正直、私はそんなに寝相がよくない。ハヤテを潰しちゃうとは思わないけど、寝返りの一つも打てば、彼女にとっては地震みたいに感じるだろうから。 服を畳んだ上にハンカチ被せれば即席のベッドになるけど……ううん、それじゃあまりにも、 「ルルル……アノネ、るいず、『れんらくがかり』ハ、オ化粧箱ノ引キ出シトカニ、部屋ヲ作ッテルンダヨッ」 また新しい言葉だ。こういう言い方をするのは、きっと『連絡係』にも面白い、何か特別な意味があるんだろう。私も身を乗り出してハヤテの話を聞いた。 友達の部屋のどこかに、こっそりと秘密の隠れ家を作るんだと言う。 それは……すごく楽しそうだ。 女の人の場合は、さっきも言った化粧箱とか宝石箱に、他にも壊れた箱時計とか、ゆうびんぽすと? よく分からないけど、とにかく箱の内側に仕切りをつけて、ちゃんとした住まいを作るんだとか。 「コロボックルハ、マズ連絡係ノ部屋ニ行ッテ、許可ヲ貰ッテカラジャナイト、ソノにんげんニ会エナイノ。連絡係ハ、スゴク特別ナノ」 マメイヌ隊の話をしてくれたときもそうだったけど、ハヤテが子供みたいに目をきらきらさせてる。 連絡係もマメイヌ隊員と並ぶ子供たちの憧れなんだろう。 「じゃあ、夕食の後で、どこかいい場所を探しましょうか。」 「イイ……ノ?」 「勿論! だって貴女はマメイヌ隊の隊員だけど、私の連絡員みたいなものでしょう?」 危ない人から守ってくれるのは、使い魔の大切な仕事なんだから。 指を立てて言ってあげたら、ハヤテも嬉しそうに笑ってくれた。 「ン、ジャア、私ハるいずノ、仮ノ連絡員ネッ」 仮なんて付けなくてもいいと思ったけど、コロボックルにとっては譲れないことらしい。 本当に、今日だけでどれだけ沢山ハヤテのことを知れたんだろう。 きっと、明日からも。 「ハヤテ、沢山おしゃべりしましょうね」 私には、これが足りなかった。ああ、だからハヤテが来てくれたのかもしれない。そして、もっともっと、私のことをハヤテに分かって欲しい。 立ち上がった私の肩に、何も言わなくてもハヤテが飛び乗って。 私は部屋のドアを開けた。 前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ
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第1話ミドル2へ ミドル1「帝国兵との戦い」 シーンプレイヤー:“ストームブリンガー”エル PCは全員が宣言のみで自動登場可能。 ※ ウィンカスターの下町を移動中、帝国兵が誰かを追い詰めている場面に遭遇します。 他のPCとの合流を目的としたシーンです。ミドル戦闘が発生します。 GM:追われているのはふたり。そのうち一人はアルフの少女のようだ。 GM:というわけで、一足早くハヤテがこのシーンに登場だ。 リーリエ:「ハヤテ、この先は逃げ場がないデス!」 ハヤテ:「ちっ、しつこい奴等だぜ!」 帝国兵A:「ようやく追い詰めたぞ。抵抗をやめて、おとなしく従え!」 リーリエ:「いやデス!」 リーリエ:「捕まったら、リーリエは、またあの場所に連れ戻されてしまうデスっ」 リーリエ:「バッフェ・ゲルツに利用されるだけなんデスっ」 エル:「そっちが‥‥ 当たりかッ」 エル:リーリエの写真を見ながら街中を探していたんですが。駆けつけます。 エル:ちょっと高いところから出てきましょう。 GM:どぞどぞ。 エル:「命が惜しければその子らを置いて帰るんだな」 エル:「さもなくば‥‥」 電流火花がバチバチと。 帝国兵B:「なにっ? どこだ? でてこい!」 帝国兵A:「上だ!」 エル:ふわりと地面に降り立って「さあ、どうする?」 帝国兵B:「ひ、一人増えた程度で何を!」 帝国兵A:「おい、アレはまだか? 目標を逃がしたら元も子もないぞ!」 GM:他に出る人はいないかなー? ローゼ:あ、じゃあ出るわ。 ローゼ:パンツァーをごろごろと(燃料をけちるために)押しながら登場。 ローゼ:「何の騒ぎですの?」 ごきりと兜を傾げながら。 GM:では、ローゼは遠方からガキョンガキョンと接近してくるデカブツに気付くぞ。 ローゼ:‥‥もしかしなくても、ゲパルトギアって言わない、それ? > デカブツ GM:そうだねー 騒ぎの方向に向かっていくよ。 ローゼ:「こうしてはいられませんわ!」 ローゼ:ガッチョンと火を入れて、ゲパルトギアが向かった方へとパンツァーを走らせる! GM:あとは出て無いのはマイヤかな。どうする? マイヤ:出ようとは思うけど、出方はデカブツにたいするエルの反応しだいで GM:じゃあ、まずは戦闘に移行しようか。 GM:路地を塞ぐようにガションガションと駆動音を響かせて大型の機動兵器、動力甲冑(ゲパルトギア)がやってくる! ハヤテ:「やれやれ、女の子一人攫うためにこんなモノまで出してくるのかよ、帝国は!」 エル:「この私に。そんなものを差し向けるとは‥‥」 帝国兵B:「このアルフを庇う奴らが何人も居るとはな」 帝国兵A:「何らかの組織が動いているのか?」 帝国兵A:「いずれにせよ、抵抗するなら容赦はせん!」 GM:というわけで、戦闘開始です。 GM:敵はゾルダートモブが2グループに、ゲパルトギアが1体。 ハヤテ:はいさ GM:ちなみに、今回の敵の目的は「リーリエ確保」です。なので、リーリエは攻撃対象に含めません。 GM:つまり戦闘からは除外して考えます。カバーアップの必要はありません。 ハヤテ:らっきー GM:あと、ゲパルトギアには「髑髏の記章」はついてません。 GM:カノンのオープニングで見た銀十字軍とは所属が違うようですね。 位置関係:(ハヤテ、ローゼ、エル)5m(ゾルダートAB)5m(ゲパルトギア) 行動順番:ハヤテ(10)⇒ローゼ、エル、ゾルダートAB(8)⇒ゲパルトギア(7) ※ ハヤテの【行動値】は本当は11ですが、なぜか10として扱われてました‥‥ ハヤテ:範囲攻撃持ってないのよさ。 ローゼ:そしたらゾルダートはこっちで相手するかな。 エル:シーン1回ですが可能です。 GM:さて皆さん、セイヴァーの戦闘ルールは理解しているかな? GM:新要素のムーブアクションが入ったので、エンゲージの離脱や移動はちゃんとルールを確認しよう。 GM:つまり、これがチュートリアルみたいなものだね。じゃあいくよー! 第1ラウンド GM:まずは戦闘開始時。登場するならこのタイミングだぜ エル:戦闘開始時に《異形化》使用。【行動値】10になり、飛行状態となります。 ローゼ:同じく、戦闘開始時に《コーリング》でパンツァーⅠを装備。騎乗状態となる。 位置関係:(ハヤテ、ローゼ、エル、マイヤ)5m(ゾルダートAB)5m(ゲパルトギア) 行動順番:ハヤテ、エル(10)⇒ローゼ、マイヤ、ゾルダートAB(8)⇒ゲパルトギア(7) ※ マイヤの【行動値】は本当は10ですが、なぜか8として扱われてました‥‥ マイヤ:むぅ、仕方ない。ここで登場しよう。 マイヤ:「‥‥ふっ」 マイヤ:「久々に同士の気配を感じて、駆けつけてみれば」 マイヤ:「こうザコばかりでは、張り合いがないな」 帝国兵たち:「なんだっ!? 新手か!」 マイヤ:「野蛮な輩に名乗る名など持ち合わせていないが‥‥」 マイヤ:「特別に教えてやろう。私はマイヤ。“水精霊の”マイヤ」 マイヤ:「お前達を血祭りに上げる者の名だ。覚えておくんだな」 マイヤ:どさりと帝国兵の死体を投げ捨てる! 帝国兵B:「くっ、銀十字の奴らはまだ来ないのかッ?!」 帝国兵A:「報告は済んでいる。だが、連中が来る前に終わらせてやるぜ!」 ローゼ:「何かごちゃごちゃと増えてきましたわね‥‥」 ローゼ:パンツァーに括り付けてあるランスを手に取りつつ。 GM:あらためて第1ラウンドのセットアップ! 敵は何もなし! ハヤテ:なし。 ローゼ:セットアップはなし GM:じゃあ、セットアップ終わりで良いね。イニシアチブに移ろう。 GM:行動順だと、ハヤテとエルからだ。どちらから動くかは自由に相談して決めていいよ。 ハヤテ:迂回移動して、直接ゲパルトギアにエンゲージすることは可能? GM:この戦場は「路地」だから「飛行状態以外では不可」としよう。 ハヤテ:了解。 マイヤ:と、とべねぇorz エル:では先に動きましょうか。 エル:ムーヴなし。マイナーで《ボマー》使用。このメインプロセスで行う攻撃を範囲化します。 エル:敵兵の戦意に対抗して奈落の力が高まっていき、同時に精霊の力も強まる‥‥という演出で。 エル:メジャーは《契約:シルフ》でゾルダートABに魔法攻撃。 エル:2d6+8 魔導(ダイスを振る) エルが振ったダイスの出目は「6・6」。 ハヤテ:いきなり!w エル:はっはっは。クリティカルです。 GM:(ダイスを振る×2)むうう。どちらも抵抗失敗。ダメージどうぞ。 エル:4d6+9 雷 (ダイスを振る) 雷 属性で27点のダメージです。 エル:「天罰よ!」 帝国兵B:「ぐあああっ、なんなんだこいつらはぁああ!」 ハヤテ:うぉ、ダメージもすげえ!? GM:ピッタリ落ちたー! GM:クリティカルでさえなければ、持ったのに‥‥ ローゼ:w 位置関係:(ハヤテ、ローゼ、エル、マイヤ)10m(ゲパルトギア) GM:では、ハヤテどうぞ ハヤテ:じゃあ、ムーブアクションで10m前進してゲパルトギアにエンゲージ。 ハヤテ:メジャーで普通に物理攻撃。2d6+8 命中判定(ダイスを振る) ハヤテが振ったダイスの出目は「6・6」。 ハヤテ:今日のダイスはなんだかおかしい。クリティカル!w GM:‥‥(ダイスを振る)良い出目だがクリティカルはしない。回避失敗。ダメージどぞ。 ハヤテ:2d6+2d6+19〈斬〉(ダイスを振る) 斬 属性で33点のダメージ。 GM: 斬 属性ならそれなりに防ぐ。 GM:それでも、半分以上HP削られたー?! ハヤテ:うむ!w GM:ギアの行動は8だけどPC優先だからなー ローゼとマイヤどうぞ。 ローゼ:うむ。さて殴るか。先に動くよ。 マイヤ:いいよ! ローゼ:ムーブアクションで《チャージ》を使用。 ローゼ:メインプロセスのダメージに+1d6しつつ、10m移動してゲパルトギアにエンゲージ。 ローゼ:マイナーなし。メジャーで通常攻撃! ローゼ:2d6+8(ダイスを振る)出目「5・5」で達成値18。 GM:クリティカルでないなら‥‥って、18か。 GM:結局、こっちもクリティカルしないと無理じゃよー?!w GM:2d6+5(ダイスを振る)出目「2・5」で達成値12。回避失敗。 ローゼ:ダメージロールで《猛攻》使用。2d6+12+2d6(ダイスを振る) 刺 属性の27点ダメージ。 ローゼ:「パンツァーフォー!」 パンツァーの勢いを乗せて刺す。 GM: 刺 属性の防御修正は‥‥ おお、僅かにHP残った! ハヤテ:ほほう。 GM:では、マイヤどうぞ。 マイヤ:はーい。出番残ってて良かったw マイヤ:「フッ」 マイヤ:「幾ら頑強に見せようとも、所詮はでくの坊」 マイヤ:「我が村の子供が5人も居れば、簡単に斃せるわ」 くすくす。 マイヤ:マイナーで《ブーストマジック》《ルーツ:自然神》。魔法攻撃のダメージに+1d6+2。 GM:いや、そんな、あと一押しで倒れる敵に(震え声 マイヤ:《契約:ウンディーネ》で魔法攻撃。2d6+8(ダイスを振る)ひくっ?! 出目「1・3」で達成値12。 GM:む? いけるか!? GM:2d6+5抗魔(ダイスを振る)出目「1・3」で達成値9‥‥ ダメージどぞー マイヤ:3d6+16(ダイスを振る) 氷 属性で27点のダメージ。 GM:うむ、固定値でオーバーキルだよ!w GM:というわけで戦闘終了! 帝国兵たち:「つ、強い‥‥」 がくり、とそのまま動かなくなる マイヤ:「私たちが強いのではない。貴様らが弱いのだ」 ハヤテ:「ふぅっ あんた達、誰だか知らないが良い腕だな。礼を言うぜ」 ハヤテ:「ありがとう」 リーリエ:「みなさん、助けてくれてありがとうデス」 ぺこり。頭を下げて。 マイヤ:「ふっ、例など言われる筋合いはない。降りかかった火の粉を払っただけだからな」 エル:「11時。対象を確保‥‥ と」 ローゼ:「で、こいつら一体何なんですの?」と倒した後で聞く リーリエ:「このままだと‥‥ また他の兵隊に見つかってしまうデス」 ハヤテ:「よしっ じゃあ、場所を変えるか」 ローゼ:「それについては同意ですわね」 GM:すると「さっさと案内しろ!」「はい、こっちです!」といった声が近づいてくる。 ハヤテ:「おっと、こいつは急いだ方が良さそうだ」 エル:「そうね」 ローゼ:「とりあえず、知り合いのところに匿ってもらえるよう聞いてみましょう」 携帯で連絡を取ってみてもいいです? GM:WFSはキミ達の受け入れ準備を整えてくれるそうです。見つかるにしても、ある程度の時間は稼げるでしょう。 ローゼ:「‥‥問題ないそうですわ」 エル:「わかったわ、同行しましょう」 GM:あえて他の場所に行くのでなければ、WFSへ行くってことで良いかな? ハヤテ:良いと思います GM:では、シーンを切る前に、何かあればどうぞ ハヤテ:じゃあ、リーリエに手を差し出します。 GM:少女は、その手にしがみつくように握り返して、キミについていく。 ハヤテ:「行こう!」 彼女を連れて走り出す。 GM:では、ふたりのその後姿でシーンエンドかな。 シーンEND GM:今日はここまでー ローゼ:お疲れ様でした。 GM:皆さんのHPMP申告してー ハヤテ:HP51/51 MP18/18 ローゼ:HP40/40 MP18/24 エル:HP28/36 MP32/34 マイヤ:HP27/27 MP30/34 GM:カノンさんのレスポンスがないから、明日シーンを進められるかは微妙だけど GM:集合だけはしましょう ローゼ:はーい GM:次のシーンが、全員合流して状況確認するシーンなので、さすがに欠席者が居ると進められない GM:というわけで、ご了承ください ハヤテ:はいはいさー GM:じゃあ、本日はこれで、自由解散かなー エル:はーい。お疲れ様でした ローゼ:お疲れ様でした 第1話ミドル2へ
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福音 福音 アーティスト 水蓮寺ルカ(山崎はるか) 発売日 2013年2月27日 レーベル ジェネオン・ユニバーサル デイリー最高順位 4位(2013年2月27日) 週間最高順位 6位(2013年3月5日) 月間最高順位 17位(2013年2月) 年間最高順位 140位(2013年) 初動売上 2565 累計売上 3143 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 OVERTURE ハヤテのごとく! キャラソン 2 Precious Nativity ハヤテのごとく! CAN T TAKE MY EYES OFF YOU 挿入歌 3 恋の罠 ハヤテのごとく! CAN T TAKE MY EYES OFF YOU ED 4 GIFT ハヤテのごとく! キャラソン 5 僕ら、駆け行く空へ 劇場版ハヤテのごとく!HEAVEN IS A PLACE ON EARTH OP 6 深淵 ハヤテのごとく! CAN T TAKE MY EYES OFF YOU 挿入歌 7 善き少女のためのパヴァーヌ ハヤテのごとく! CAN T TAKE MY EYES OFF YOU ED 8 月の祈り ハヤテのごとく! キャラソン 9 Forever Star 10 Here I am, Here we are ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 3/5 6 新 2565 2565 2013年2月 17 新 2565 2565 2 3/12 ↓ 578 3143 ハヤテのごとく! ED 前作 CAN T TAKE MY EYES OFF YOU 次作 恋の罠 善き少女のためのパヴァーヌ 関連CD 僕ら、駆け行く空へ 恋の罠
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アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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第1話ミドル3へ ☆簡易ステータス カノン:HP29/29:MP32/32 ハヤテ:HP51/51:MP18/18 マイヤ:HP27/27:MP30/34 エル :HP28/36:MP32/34 ローゼ:HP40/40:MP18/24 エル:忘れてましたが、ライフスタイル「ギャンブル」があるので、プリプレイで判定を。 GM:今からでもいいよ。どうぞ。 エル:では、エクスカリバーからの振込があったかどうかを。 エル:2d6+4 幸運/目標10(ダイスを振る)出目「1・4」で達成値9‥‥ 素寒貧。 ローゼ:w ミドル2「彼女の事情」 シーンプレイヤー:ローゼ=シンジェロルツ PCは全員が自動登場可能。 ※ カノンとの合流目的のシーンです。 GM:街中で帝国兵をぶん殴りつつ合流し、WFSに辿り着きました。 GM:ウィンカスター・フォーチュン・サービス(WFS)所長のナガセ・ミナに事情を話すと、彼女はキミたちを快く迎え入れてくれた。 ローゼ:「やれやれ、ようやくゆっくりできますわ」 がしょんがしょん。 ローゼ:「まさか、出て行って直ぐ、ここに戻ることになろうとは、思いませんでしたわ‥‥」 ハヤテ:「よ! ミナ姉」 ハヤテ:「俺に用事があるって聞いたんだけど?」 ミナ:「まったく、どこで油を売ってたのかと思ったら‥‥ 疾風の名は伊達じゃないわね」 ミナ:ハヤテの腕にしがみつくように歩くリーリアを見て。むふふと笑う。 ハヤテ:「ミナ姉が付けた名だろ? 期待通りに育ったんだって、素直に喜んでくれよ」 ニカッ エル:「奥の部屋借りるわよ」とコネっぽく。 ミナ:「おや。“嵐をもたらす者”まで御一緒とは」 エル:「ちょっと風がね」 ミナ:(自然にハーレム形成‥‥? は、ハヤテ。恐ろしい子‥‥ッ!) ハヤテ:「?」 ミナ:「‥‥と、とりあえず」 こほん。 ミナ:「今、ウィンカスターは非常事態だって、ゾンバルトが戒厳令を発しているわ」 ミナ:「ゲパルトギアが街中にまで出張っているのも、そのせいね」 ミナ:「実際に命令を下したのは、銀十字軍でしょうけどね」 ミナ:「現在、このウィンカスターは難民騒ぎでゴタついてる」 ミナ:「WFSも難民の受け入れ準備で手が回っていない状態よ」 ミナ:「だから、多少の不自然ならスルーされるって考えたんでしょ」 ミナ:「街の入口も当然封鎖で出入りは禁じられ、街中はあちこちに帝国兵よ」 ローゼ:「最悪ですわね。さっき一戦交えたばかりですのに‥‥」 ハヤテ:「ウチとヤツらじゃ、裏でバチバチやり合うのは、いつものことだけどな」 > 対帝国 ミナ:「ま、ひとまずあんたたちはウチで匿ってあげるわ」 ミナ:「適当に隠れるより、なんぼかマシでしょ?」 エル:「でもずっと厄介になるわけにはいかないわね‥‥」 ** ** ** カノン:奥の扉を開けて登場します。難民キャンプの子供たちと一緒に、休憩させてもらってました。 カノン:「御面倒をかけてすみません。少しは落ち着いたようです」 ローゼ:「新しいお客ですの?」 見た事のない顔が現れたので。 カノン:「!」 いきなり皆から視線を向けられ、ややパニックに。人見知りする性質ですw ミナ:「あ。カノンちゃん」 ミナ:「今から奥の部屋使うんで、ちょっと通らせてねー?」 ミナ:カノンに向けてウインク。 カノン:遠慮がちに道をあけます。 GM:難民の子供たちの休んでる部屋を通って、奥の会議室へ皆を通す。 GM:そして、すれ違い様、リーリエの姿に。例の手配書を思い出すわけだ。 > カノン カノン:「!」 カノン:「あなた‥‥ ひょっとして手配書のッ?!」 リーリエ:「えっ? な、なんデスか?」 ハヤテ:とりあえずリーリエを庇うように間に入る。 カノン:リーリエへと何かを言いかけて。でも、言葉に出来なくて。 カノン:その後、急に泣き出して崩れます。 ハヤテ:「っと?!」 咄嗟に腕を引いて支える。 カノン:「帝国、軍が‥‥ 村を‥‥ 手配書‥‥」 もう、何を言ってるんですか、カノンちゃん?状態w リーリエ:「え、えっと。だいじょうぶデス?」 ローゼ:「何だか、ややこしい状況ですわねえ」 ミナ:「あちゃー」 察して。「とりあえず、みんな、奥へ」 ミナ:「‥‥一緒に来る?」 > カノン ミナ:「事情くらいは聞けると思うけど」 カノン:言葉は出ないけど小さく頷きます GM:では、部屋を移ります ** ** ** GM:奥まった部屋で一息ついたあと、キミたちはリーリエの話を聴くことになった。 GM:アルフの少女は全員を見回しながら話しはじめる。 リーリエ:「リーリエは‥‥ 【バッフェ・ゲルツ】から逃げてきたデス」 リーリエ:「あいつは、リーリエを自分の計画に利用しようとしていたデス」 リーリエ:「何かスゴイ兵器を造ろうとしてたみたいデスが‥‥」 ミナ:「いたいけなアルフを利用した兵器、か。きっとローゼに追わせてる新兵器のことね」 マイヤ:(フッ、まさかこんなに早くターゲットの名前が聞けるとはな) ローゼ:「ここでその名前が出てきますのね」 > バッフェ・ゲルツ ローゼ:「全くあの男、懲りていないようですわ」 ぷんすか。 リーリエ:「でも、でもッ! もう、あんなところには戻りたくないんデス!」 エル:「私の方もそれを聞いて探していたのよ」 エル:「あなたが望むならば、“エクスカリバー”には匿う用意がある」 > リーリエ カノン:「あたしの村もあの人に‥‥」 皆への事情説明を簡単に済ませます。 リーリエ:「え、ええっと」 リーリエ:「じゃあ。カノンさんの村は、リーリエのせいで‥‥?」 事態を理解して、顔を覆う。 カノン:静かに首を横に振ります。悲しそうな表情で。 ハヤテ:「そういう事情じゃ、リーリエに複雑な感情を持つのも仕方ないかも知れないけどな」 ハヤテ:「でも。それって、リーリエが悪いワケじゃないだろ?」 ハヤテ:「カノンもそれを分ってる」 ハヤテ:「だから、どういう顔して良いのか分らないんじゃないか」 カノン:「あの“兵器狂”があなたを探していたことは、確かにきっかけかもしれない」 カノン:「でも、そのことはあなたとは関係ないわ」 リーリエ:「リーリエを‥‥ 許してくれるんデスか?」 カノン:「あなたが悪いわけじゃないもの」 カノン:「‥‥でも」 左腕のブレスレットを無意識に撫でて。 カノン:「村のみんなを蹂躙した、あのひと(バッフェ・ゲルツ)だけは‥‥ 許せない」 暗い瞳で。 カノン:「記憶も何もない、身元不明の行き倒れだったわたしを、あの村は優しく保護してくれた」 カノン:「これくらいしか恩を返す方法が思いつかないの」 リーリエ:「そうデスか。カノンさんも記憶が‥‥」 リーリエ:「‥‥実は、リーリエも。殆ど過去の記憶が無いのデス」 リーリエ:「ある遺跡で眠っていたところを、バッフェが発見して。無理矢理に目覚めさせられたのデス」 リーリエ:「ずっと軟禁されて。冷たいコードをいっぱい身体に繋がれて」 リーリエ:「データを取られたり、カプセルに入れられて検査されたり、いろんな実験もされたデス」 ハヤテ:「‥‥‥‥」 カノン:「泣いていても仕方ないから。もう泣かないわ」 カノノ:「でも、何から手をつければいいのかしら?」 ミナ:「まあ、あれよ! アレあれ!」 ミナ:「みんなで協力すれば、何とかなるわよ!」 ローゼ:「そうですわね。どうやら目的は同じようですし」 ハヤテ:「まあ、要はその【バッフェ・ゲルツ】ってヤツをぶん殴れば良いんだろう?」 ミナ:「ま、そう簡単にいけば、誰も苦労しないわよ」 ハッと鼻で笑う。 >ハヤテ ミナ:「カチ込むにしろ何にしろ、まず情報が必要だわ」 ハヤテ:「許せないヤツがいる。だったらそいつをぶっ飛ばせばいい」 ハヤテ:「簡単な話だろ?」 ミナ:「やーれやれ、若いわねー」 ローゼに視線をちらりと向けて。 ローゼ:「そこに至るまでが簡単じゃないという話ですわ。ま、方法としては最短ですけれど」 ローゼ:視線の意味を考える GM:さて、合流が無事に済んだところで、シーンを切るよー 次は情報収集になります。 一同:はーい。 シーンEND 第1話ミドル3へ
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前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ ルイズは、幾つかの魔法を使えるようになった。 けれど火や風の魔法は、やはり使うことができなくて、ルイズのことをゼロと呼ぶ人間はまだ多い。多分、あの人たちにとっては、ルイズがどう変わろうとゼロのままなんだろう。 あまりいい気持ちはしないけど、本人に気にしてないからと言われたら、私には何も言えない。 シルフィードは、タバサに許してもらえたから、と私を相手に色々な話をするようになった。 韻竜と言うらしい、とても珍しい竜なので、他の人間にはしゃべれることを知られてはいけないと。だから私もルイズには言えないでいる。 キュルケは、ルイズをよくからかうけれど、魔法が使えるようになったことは、とても喜んでくれた。ただ、囃し立てすぎて、ルイズが拗ねてしまったけれど。 私は、ちょっと苦手だ。あまり聞かれても、話せないことの方が多いから。私個人のことならともかく、コロボックルに関ることは、言いふらして欲しくない。 最近になって、行動範囲を少しずつ学院の外まで伸ばしている。 ルイズの部屋の窓の桟を少し削って、小さな穴を開けて出入り口を作ってもらった。茶色に塗った布を貼ってあるので、見た目ではわからないし、風も入らない。 この細工は、実はシエスタがやってくれた。もちろん、ルイズに許してもらった上で。 日中は殆どルイズと一緒にいるから、探索をするのは夜だ。 木の根を飛び越え茂みを走り抜けると、昨夜残した目印の蜘蛛の糸が、月の光を弾くのが見えた。 夜の動物は、視界は鈍くても、耳と鼻が鋭い。だから一瞬も気が抜けない。 誰にも見られる心配がいらないんだと気がついてから、夜は服も簡単にした。集めてきた野草の煮汁で染めた布を、胴体と、二の腕と脛に巻きつけてる。動きやすいけど、冬は寒いだろう。 今悩んでるのは靴だ。隊の靴は上質のモグラの革を重ねたものだけど、こうして毎日のように走り回っているのだから。 一人になってよく分かる。見えないところでも、皆に支えられてきたんだと。 びりっと、うなじの辺りが緊張した。考えるよりも速く落ち葉の中に潜り込んで息を止めた。 右手は剣の柄に、左手を毒針に伸ばす。 ……いる。 やり過ごせるだろうか。 相手がばんと地面を蹴った瞬間、私もまた空に向かって跳ねた。 木を蹴って方向転換、黒い獣がさっきまで隠れていた茂みを抉った。悔しそうな唸り。猫よりもずっと大きい。金色の目が光を―― * * 夜中、ハヤテが探索に行くのは心配だけど、たった一人でも自分はマメイヌ隊なんだからと言われると、引き止めるのも難しくて。 気をつけて、怪我をしないようにと祈ることしかできないのがもどかしかった。 心配していても眠くなるのは、自分でも呆れちゃうけど、魔法の練習やらコルベール先生と話したりキュルケに振り回されたりで疲れてるんだからしょうがない。 そして、夜気を切り裂いて走っていく夢を見た。 夢と言うには、自分の息遣いや鼓動、草や地面の匂いまでがやけに鮮明で、 視点の低さから、ようやく、これが夢じゃなくて、ハヤテの感覚と繋がってるんだと思い当たった。 寝ていると、頭の働きも鈍るらしい。起きてたらすぐに気がついただろうに。 以前、走ってるハヤテの視界を感じようとしたときには、あまりの速さに目が眩んでしまったけど、私が寝てるときなら、平気みたい。 きっと、私の体からの五感が途絶えてるから、ハヤテだけに集中できるんだろう。 どこをどう走ってるのかなんて、分からない。 時々、木の幹に剣で傷を刻んだりして、きっと目印なんだろう。 最後に、するすると木に登って、一本の枝に、複雑によじれをつけた細い糸を結び付けてた。風に漂うように揺れると、月の光を弾くの。 トリスティンの騎士隊に、これほど巧みに動ける騎士なんていないんじゃないかと思う。 安心したら、何だか暗くなって、 ハヤテの笛の音に起こされた。 人が散々心配したのに、すっきりした顔してる。 誤魔化しながら聞いてみたら、やっぱり夢で見たのは、本当にあったことらしい。 ハヤテが無茶をしてないことが分かったのと、それから毎晩じゃなくて時々だけど、夢でハヤテと繋がれるようになったから、心配しすぎないようにしようと思った。 それに、ハヤテと一緒に走ってるみたいで、わくわくするし。 ただ、今日はいつもと様子が違った。 じぐざくに、目まぐるしく景色が変わる。ハヤテらしくない乱暴な走り方だ。 一体何がと思ったとき、すぐ側を大きな何かが掠めた。弾き飛ばされたみたいに転がって、素早く立ち上がってまた走り出した。 ちらりと見えたのは、とてつもなく大きな口と光る目。 自分なんて一飲みにされそうで。もし私なら凍りついて動けなくなるだろうに、ハヤテは全然止まらない。それどころか、右に左に、相手を翻弄してる。 ふっと、足元が消失した。違う、飛び降りたんだ。と思った瞬間、ハヤテが剣を引き抜いて、今踏み切ったばかりの足場に突き刺した。がくんと全身が引っ張られるその上を、獣が飛び越えて行った。 ばきがさとそれほど遠くない所で音がしたから、さして高くない崖なんだろうけど、でも一度落ちてしまえば、こちらにすぐ戻ってくることはできないだろう。 ハヤテは、しばらく剣にぶら下がったまま、暗い下方を見ていたけど、ようやく安心したのか、崖の上に戻った。 勘弁して欲しい、こんなに怖い思いをさせられるとは思わなかった。 頼むから、今夜はもう部屋に帰ってきて欲しい。 帰ってきたハヤテに怒ってやろうと思ったんだけど、気が抜けたせいか、そのまますとんと眠ってしまった。 「るいず、ドウカシタ?」 「どうかしたって……ハヤテこそ、昨夜は何かあったんじゃないの?」 どうして平然としてるのよ。 「ン、追イカケッコ、シタヨ。アレハ、ヤマネコカナ」 そんなことよりも、こっちの方が気になるんだと、悲しそうに靴に手を突っ込んでる。 怒る気も失せたわ。 「ああいうのが、マメイヌ隊の日常なわけ?」 「ソンナコトナイヨ。タダ、アアイウコトモ、タマニアル」 そこまで来て、あれ? とハヤテが首を傾げた。 「モシカシテ、昨日モ、見タ?」 「見たわよ。繋がった途端、キシャーッて追いかけられて、めちゃくちゃ驚いたんだから」 寝てる間は、意識して繋げたり切ったりできるわけじゃないから、ハヤテのせいでもないんだけど。 「本当に、心配したのよ?」 ハヤテに掌に乗ってもらう。ここにいるんだって、安心できるから。 「アリガト、ソレニ、ゴメン。本当ハ、モット早ク振リ切レタンダケド……」 そう言って差し出したのは、さっきから弄ってた靴。 あ、靴底から、ハヤテの指が、ぴょこんって飛び出してる。 「穴ガ開イチャッテ、上手ク走レナカッタノ」 あれでまだ本気の走りじゃなかったのか。 呆れるしかない。それなら確かに、ヤマネコも怖くないかも。 「怖イノハ、最初ノ襲撃ヲカワシソコネルコト。ソレサエ凌ゲバ、大抵ハ振リ切レル」 「でもその靴じゃ難しいのよね」 だからあんな離れ業が必要になったわけだし。 「自分で直せそう?」 必要なのは、薄いなめし皮と、馬の尻尾の毛が何本か。 ただ、ハヤテは裁縫が苦手なので、失敗してもいいように、少し多めに欲しいと、すまなそうに言った。 大喰らいの使い魔に比べたら、ハヤテが必要とするものなんて、本当に僅かなものなのに。 なめし皮は、皮手袋用の豚皮でいいのかしら。あれなら薄いのもあるから。 「タバサに頼んで、今度トリスタニアに買いに行きましょうか」 風竜に乗せてもらえると楽だしあの高さから見下ろす景色も最高だから。 お願いすると、意外に簡単に乗せて貰えるんだけど、いつか本当にちゃんとお返しをしたいな。 シエスタは残念ながら来れなかったけど、代わりにキュルケが混じった。いなくていいのにとつい口の中で毒づいたら、ハヤテに指笛で叱られた。 そうね、タバサの友達なんだし、そういうこと言っちゃだめか。 タバサが魔法で風を遮ってくれるので、私たちは安心して空の行程を楽しめる。 ハヤテは小さな帳面を持ってきていた。ちょっとでいいから、人間の靴屋を見学したいから、その間私たちには時間を潰していて欲しいと。 なるほど、隠れていればばれないだろうし、全く同じ作り方ではないだろうけど、確かに参考になるかもしれない。 自分の腕に自信がないのなら尚更。 「時間はいいけど、合流はどうするの? 私たちが靴屋に迎えに行きましょうか?」 「目ヲ繋ゲバ、追イカケラレナイカナ?」 「ううん、多分だめね。通りはどこも似たような造りだし、お店に入ってたら余計見つけられないと思うわ。二時間くらいしたら迎えにいくから、それまでしっかり見学してなさい」 指を立ててハヤテを諭してたら、キュルケに笑われた。お姉さんぶってるって。 喧嘩にならなかったのは、空の上だったから。シルフィードが急降下して喧嘩どころじゃなかった。 二度とタバサの読書の邪魔はしちゃいけない。 結果として、ハヤテの靴は、本人も驚くほどいいものができた。 ここの人は、靴を手作業で作っているので、もの凄く参考になったって。 だったらハヤテの故郷ではどうだったのかと聞いたんだけど、要領を得なかった。キカイが自動で作るって言われても。 コロボックルは手作りなので、私たちに近いんだとか。 私から見てもよくできてると思う。二種類の皮を貼り合せてあって、水も漏らないそうだし。 慣れてないせいで手を少し怪我しちゃったみたいだけど、とにかく、ここしばらく靴作りに励んでいたハヤテは、嬉々として外に飛び出していった。 あの様子なら、本当に心配はいらないんだろう。 それにしても、上手く行かなくて癇癪を起こすハヤテとか、普段見られない彼女が見られたのはよかったと思う。 穴の開いた靴は、ハヤテの部屋に、大切に仕舞われている。 前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ